コーチング・入門から実践まで:No.1「思い込むこと」の重大性・重要性

コーチング・入門から実践まで
 

No.1 「思い込むこと」の重大性・重要性

個人会員  長嶋みさき

 今号から、コーチングの手法を利用した脳や心の使い方についてコラムを書かせていただきます。

 もともと国の安全保障などの勉強をしていたところ、人間の心の安全や目標の達成方法に強い興味がわき、ルー・タイスと苫米地英人(とまべち ひでと)が開発したコーチング方法のトレーニングを2年かけて受けました。認知科学、心理学、脳科学に基づいたものです。利用する人は本当に色々で、仕事で成果を出したい人、スポーツの成績を上げたい人、人間関係を改善・解決したい人、自分の性格を何とかしたい人、など多岐にわたります。

 最初に、コーチングの基本となる「思い込み」のお話をします。「思い込み」は「脳のくせ」から来るものであり、それが人の行動を決め、結果に結びつき、つまりは人生を大きく左右する重大な要素となります。信念とも確信とも言い換えられますが、自分がどんな思い込みをし、何を信じる傾向にあるかを知るには、歩んできた人生をふり返るのがよいとされます。これまでに自分が望んだものの中で、何が上手く行ったか、何を諦めてしまったか、手に入れたものは何か、そこから色々なことが見えてきます。思い込みの種類には例えば、「私は誰に反対されてもこれだけはやる」「自分にそんな大それたことができる訳がない」「お金がないから無理だ」「失敗するリスクがあるならやめておこう」「こうと決めたのだから絶対に実現させる」などなど、ポジティブなもの、ネガティブなもの様々です。
 幼少期、または青年期に大きな夢を持とうとした時、その夢や目標を潰してしまう原因の大半が、悲しいことに親や教師という身近な大人です。大望を抱いても親や教師は親切心(と言う思い込み)から「お前にそんなことが出来るわけがない」「もっと現実を見なさい」「あなたの幸せのためだから」と言ってきます。子供にとって身近な大人は最大のインフルエンサーなので、心強い支援者にもなる一方、夢を潰すドリームキラーにもなり得るのです。大人になってからも、自分の今後について大きな相談をする相手は厳選しないといけない理由にもなります。
 コーチの一番の仕事は、人の脳や心にかかっているさまざまな制限や枷(かせ)、フィルター、そして負の思い込みを一つ一つ外して、内に持っている能力を全開させることです。相手の叶えたい希望と実現能力を信頼し、上手くいかない事があれば、そこに心理的な要因がないか、どこまでも追求します。また別の回にお話ししますが、他人からの評価の捉え方や、心の傷、怒りやイライラへの対処法、言いたいことをちゃんと表現する方法など、対人関係改善や離職防止などにも利用されています。脳のくせから来る言動やそこから生まれる結果が、いつからでも何歳からでも、自分にとって「思わしい」方向に変えることができる事を、大人にこそ知ってもらい、人生を自由で豊かなものにしていただきたく思います。

 次回からは、企業運営にコーチングが重要視されるようになった理由や、人材を最大限に生かす方法など、私が依頼先で実践していることを中心にお話ししていきます。

以上


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