IoT研究会 堀込 孝繁
去る11月8日(月)にZoomで開催された新井さん(個人会員)による「人工知能(AI)概論」セミナーの内容を紹介します。産業用のIoTでは、データの収集・クラウドへの集約・制御という一貫した流れの中でAIの理解が欠かせないため、新井さんに講師をお願いしました。人工知能の歴史と現在の状況や課題に至るまで、とても広範で興味深い内容でした。
1. セミナーの概要
- 初期のコンピュータに託された役割は主に計算機能で、課題や方程式の設定、考察は人間が行った。
- 人工知能(AI)はArtificial Intelligenceの略。定義は様々な立場や研究領域があるため、統一されていない。
- 人工知能研究には、本当に知能のある「強いAI」と人間の活動の一部を担う「弱いAI」があるが、ほとんどは「弱いAI」である。小鳥のさえずりの学習性についての研究は「強いAI」である。
- 人工知能研究は1950年代から行われているが、ブームと冬の時代が交互に現れ、現在はディープラーニングなど第3次ブームである。
- 人工知能には4つのレベルがある。レベル1はエアコンや洗濯機などの制御機能で、レベルが高まるとデータ分析や推論機能が高まり、レベル4では顔画像認識や天気予報などに使われる。
- 現在の代表的な研究テーマの中では、ディープラーニングは従来人が設定していた変数を大量のデータから自動的に設定する。
2.質疑・感想
- ディープラーニングは、どのようなデータを何を目的に入力するか、信頼性の確保が課題である。国家が悪用すると民意を意のままに誘導する懸念がある。
- ビッグデータの集約や推論に際して条件設定が不適切だと誤った結論が出る恐れがある。
- AIでは、あいまいな部分は確率で推論する。
- 小鳥のさえずりの研究は興味深い。実際に鳥はわざと悪声で鳴くことがある。
- AIはIoTと関連が深い分野なので、今後とも具体的な用法を含めて研究していく必要がある。