暮春の国営昭和記念公園徘徊記

つれずれなるままに

暮春の国営昭和記念公園徘徊記

 立川駅で下車したのは、思えば15年も前のことである。町名などは解っていても町のイメージとは結び付かないだろうから思い出すことは危険である。それはやめよう。そして、友の行動に従うことにしよう。
 用事が済んだのは午後2時少し前。「昭和記念公園に寄って行こう」と誘われた。昭和記念公園というのは、インターネットでざっと人の写真を使って散策しただけであり、実際の入場は初めてである。公園のあたりを歩いたのは、公園の前身の米軍立川基地の頃。基地の一般公開の折である。もう半世紀も昔のことである。だから、立川を知っているなどとは言えるはずはないのである。

  1. 立川口から入場
    立川口看板 平成31年暮春

    平成31年暮春。平成も最終月に達成した初入園記念。


     立川口の案内板のところに到着したのは13時57分。頃は暮春の15日、気は淑い。しかも平成31年4月、これも記念すべき月。

     国営というだけあって、案内板は立派である。しかし、公園内を傍観しても、花らしいものは何も見い出せない。公園では一体何が見られるのだろうか? この暮春の時期に。思い起こせば、今年の東京の桜前線は仲春の21日。それから、25日も経過している。一縷の不安が走る。

    立川口入園ゲート前の景観

    立川口入園ゲート前の景観


     銀杏並木は夏木立にはまだ遠い。感じられるのは広大な広さの感触だけ。うら悲しさを拭えないまま、入場券を購入して園内に。初めての公園徘徊はさて如何に。
     
  2. カナール、銀杏並木とかたらいの道
    カナール(水路)とその両側の芽吹き前の灰色の銀杏並木とかたらいの道

    カナール(水路)とその両側の芽吹き前の灰色の銀杏並木とかたらいの道


     カナール(水路)とまだ芽吹きもままならない灰色の銀杏並木の間の「かたらいの道」を一人でとぼとぼと歩く。友はカメラマンで忙しい。女性でも誘ってくればよかったと思っても遅い。
     
  3. ふれあいの広場
    ふれあいの広場 不思議な光景(残花と爛漫の桜花)

    ふれあいの広場 不思議な光景(残花と爛漫の桜花)


     「ふれあいの広場」に到着すると、満開をやや過ぎた桜が一本。暮春のうら悲しさを拭ってくれた希望の桜であった。
     しかし、その隣は、残り花しかない暮春の桜。仲春と暮春の混在する不思議な光景である。こんな近くでこの差異は何によるのであろうか?
    涸れ川両岸 桜の丘の残花

    涸れ川両岸 桜の丘の残花

     
    ふれあい広場 枝垂れ桜

    ふれあい広場 枝垂れ桜

     「ふれあいの広場」から「水島の池」へと行く途中に川が見える。しかし、水はない。いわゆる涸れ川である。その橋を渡っていると、両岸に桜の丘が見えるが、まったくの暮春の風情。残り花が見える程度である。それでも、行く春を惜しむ惜春鳥の声でも見こえてくればさまにもなろうが、何処からとも聞こえては来ない。弥生尽にはまだ間があるからだろうか。
     この写真は、木間通しに残雪がうっすらと見えるようでもあり、秀作なのかもしれない。
     その後、「みんなの原っぱ」に行く途中で桜やツツジなど、いくつかの花木に遭遇する。

    「みんなの原っぱ」手前 満開の桜

    「みんなの原っぱ」手前 満開の桜


    みんなの原っぱ手前 ムラサキツツジ

    みんなの原っぱ手前 ムラサキツツジ

    みんなの原っぱ手前 レンゲツツジのつぼみ

    みんなの原っぱ手前 レンゲツツジのつぼみ

     
  4. みんなの原っぱ
    みんなの原っぱ 満開のヤマザクラ

    みんなの原っぱ 満開のヤマザクラ


     「みんなの原っぱ」はさすがに広大である。原っぱに入ってもその反対側にある「桜の園」には気付きもしなかった。それほど広大ということである。そして、「みんなの原っぱ」に入って直ぐのところで満開の白いヤマザクラを見つける。この山桜には感謝感謝。うら悲しさも少しづつ薄らいで行く。
    みんなの原っぱ ヤマザクラの近影

    みんなの原っぱ ヤマザクラの近影

    みんなの原っぱ オオケヤキ

    みんなの原っぱ オオケヤキ

     広大な原っぱの中央には、ポツンと「けやきの大木」が一本立っている。この木を見ていると大きな木のCMを思い出す。カメラマン氏は大きな木を見つけると、パチパチと盛んに撮影しまくっている。そして、その向こうには「桜の園」が横たわる。大勢は暮春の風情であるが、何本か元気そうなのが見える。

     

  5. みんなの原っぱ/桜の園
    桜の園全景

    桜の園全景

     桜の園のほぼ全景であるが、左手の方は暮春の風情。しかし、右手の方には満開の桜が見える。グッドラック。
    桜の園 満開の桜

    桜の園 満開の桜


    桜の園 満開の桜

    桜の園 満開の桜


    桜の園 満開の桜

    桜の園 満開の桜


     入場時のうら悲しさはどこかに吹き飛び、暮春に満開の桜が見られたという喜びに変わる。
     花びらはヒラヒラと舞い散ったり木の下風にピカピカと舞い上がったりしながら優雅に地面を覆って行く。咲く桜に散るサクラ。桜の花見の醍醐味である。

    桜の園 満開の桜

    桜の園 満開の桜


    桜の園 満開の桜

    桜の園 満開の桜


     
  6. 日本庭園
     
    日本庭園 ムラサキツツジ

    日本庭園 ムラサキツツジ

    日本庭園 暮春の風景

    日本庭園 暮春の風景

     
     日本庭園に入ると、ムラサキツツジが歓迎の挨拶代わりのように咲いていた。そして、日本庭園の落ち着いた佇まいが広がる。
    日本庭園 暮春の風景

    日本庭園 暮春の風景


    日本庭園 枝垂れ桜

    日本庭園 枝垂れ桜

    日本庭園 枝垂れ桜

    日本庭園 枝垂れ桜


     日本庭園の出入り口の枝垂れ桜も一入の日本庭園らしさを装う。

     

  7. 日本庭園/盆栽苑
    盆栽苑 大丁字がまずみ

    盆栽苑 大丁字がまずみ


     珍しいヤマザクラの盆栽を見られたが、この時期の盆栽展示はこういう雰囲気なのであろう。待たれるのはツツジである。
    盆栽苑 ヤマザクラ

    盆栽苑 ヤマザクラ

    盆栽苑 五葉松

    盆栽苑 五葉松


     源氏物語ならば、五葉の松には飾り物の鶯が見られるのであろう。「松に鶯」の取り合せである。
    盆栽苑 もみじ

    盆栽苑 もみじ


     
  8. みんなの原っぱ/東花畑
    東花畑 菜の花とバックで咲き誇る桜花

    東花畑 菜の花とバックで咲き誇る桜花


     菜の花は、霞に包まれたような淡い桜に鮮やかな色どりを添える。
    東花畑 菜の花とバックで咲き誇る桜花

    東花畑 菜の花とバックで咲き誇る桜花

    東花畑 桜の園を望む

    東花畑 桜の園を望む

     東花畑は菜の花が咲き乱れ、その奥に桜の園が見える。
    東花畑近辺 白く咲き誇る山桜

    東花畑近辺 白く咲き誇る山桜


     白く咲き誇るヤマザクラが妙に印象に残る。
    東花畑近辺 深紅の椿

    東花畑近辺 深紅の椿

     そして、深紅の花を付けた椿。
       
       鶯やポタリと落ちる椿かな 芭蕉

     芭蕉の句を思い出したのは15時48分。 
     途中おやつ休憩を10分ほどしたが、ほぼ2時間歩き廻ったことになる。東京の桜前線は3月21日。暮春のこの時期に爛漫の桜花の姿を見ることができるとは考えてもいなかった。それだけに、嬉しい、そして楽しい徘徊であった。久し振りの長距離徘徊でもあった。しかし、深紅の椿に遭遇した頃には、膝の関節は少し重くなっていた。
     そして、西立川口から西立川駅へと向い、これも久し振りに青梅線の上り線に乗った。
     

(奥谷 出)

 


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